「カチカチだったサボテンが、指で押すとへこむくらい柔らかくなっている…」
「根元が変色して、ぶよぶよした感触がする」
「久しぶりに見たら、全体がシワシワに萎んでいる」
丈夫なはずのサボテンに異変が起きると、パニックになりますよね。「もう枯れてしまったのか」「腐ってしまったのか」と不安になると思います。
結論から申し上げます。サボテンがぶよぶよになる原因は、大きく分けて「水不足(助かる)」か「根腐れ(緊急手術が必要)」の2つです。
この2つは対処法が真逆です。間違った対処をすると、トドメを刺すことになります。
この記事では、あなたのサボテンが「ただ喉が渇いているだけ」なのか、それとも「深刻な病気」なのかを見極めるチェックリストと、腐ってしまっていた場合の「復活手術(胴切り)」の手順を、経験談を交えて徹底解説します。
【緊急診断】その「ぶよぶよ」、腐敗か?水不足か?
まずは、現在のサボテンの状態をよく観察してください。以下の特徴のどちらに当てはまりますか?
A:水不足(脱水症状)の可能性が高いケース
【特徴】
- 色は「緑色」のままである(少しツヤがない程度)。
- 全体的に「シワシワ」と波打って萎んでいる。
- 触ると柔らかいが、皮が張っていて「弾力」はある(ゴムボールが空気が抜けたような感じ)。
- 嫌な臭いはしない。
【判定】まだ助かります!
サボテンは体内の水分を使って生き延びようとして、縮んでいるだけです。
B:根腐れ(腐敗)の可能性が高いケース
【特徴】
- 根元や体の一部が「黒」「茶色」「黄色」に変色している。
- 触ると「グニュグニュ」「ブヨブヨ」して、水っぽい。
- 指で押すと、皮がズルっと剥けたり、中から汁が出たりする。
- 鼻を近づけると「腐った玉ねぎ」のようなツンとする異臭がする。
【判定】緊急事態です!
内部で腐敗菌が繁殖しています。放置すると数日で全身に回り、手遅れになります。
ケースA:「水不足」だった場合の復活方法
診断の結果、色が緑色でシワシワしているだけなら、単なる水不足です。しかし、慌てて大量の水をあげるのは危険です。
少しずつ水を与えてリハビリする
長期間断水していたサボテンの根は、乾燥して機能を停止しています。そこにいきなり大量の水を与えると、吸い上げきれずに逆に根腐れを起こすことがあります。
- まずは、コップ半分程度の少量の水を、土の表面が湿る程度にあげます。
- 2〜3日様子を見ます。少し膨らみが戻ってきたら根が生きている証拠です。
- その後、鉢底から出るくらいたっぷりと水を与えます。
- 1週間ほどで、パンパンの張りを取り戻します。
※冬場(休眠期)の場合は、断水気味にするのが正解なので、春になるまでシワシワのままで様子を見ることもあります。
ケースB:「根腐れ」だった場合の復活手術(胴切り)
診断の結果、変色や異臭があり「腐っている」と判断した場合。残念ながら、自然治癒は100%ありえません。腐った部分は取り除くしかありません。
「切るのは可哀想」と思うかもしれませんが、切らなければ死にます。勇気を出して「胴切り(どうぎり)」という手術を行いましょう。
用意するもの
- よく切れるカッターナイフか包丁
- 消毒用アルコール(または熱湯消毒)
- 新聞紙
- 手袋(トゲ防止)
ステップ1:土から抜いて患部を確認する
鉢からサボテンを抜きます。おそらく根っこは黒くドロドロに溶けてなくなっているはずです。
腐敗がどこまで進んでいるか確認します。根元から上に向かって腐敗が進んでいきます。
ステップ2:刃物を消毒する【重要】
カッターをアルコールで拭くか、火で炙って消毒します。雑菌がついた刃物で切ると、切り口からまた腐ります。
ステップ3:腐った部分を切り落とす
変色してブヨブヨしている部分よりも、「少し上の健康な部分」でスパッと水平に切断します。
躊躇してはいけません。大根を切るように思い切って切ります。
ステップ4:断面をチェックする(維管束を見る)
切った断面(サボテンの内部)をよく見てください。
中心にある「維管束(いかんそく)」という輪っか状の筋が、茶色や赤色に変色していませんか?
- 変色している場合:まだ腐敗菌が残っています。さらに上をスライスして、変色がなくなるまで切り進めます。
- 真っ白・キレイな緑の場合:成功です。そこが新しい底面になります。
※「こんなに小さくなってしまった…」と絶望するかもしれませんが、サボテンは先端の数センチだけでも残れば、そこから根を出して復活できます。
ステップ5:断面を乾燥させる&発根待ち
ここからが長い戦いです。切ったサボテンは土に植えません。
- 風通しの良い、直射日光の当たらない場所に、切り口を横にして転がしておきます。
- 最低でも2週間〜1ヶ月、切り口を乾燥させます。
- 切り口がカチカチに固まり、中心から「ピンク色や白の新しい根」がチョロっと出てくるのを待ちます。
- 根が出てきたら、新しい乾いた土の上に「置く」ように植え付けます。
この乾燥期間中、水は一切あげません。サボテンの生命力を信じて待ちましょう。
【番外編】真夏や真冬の「ぶよぶよ」は要注意
水不足や根腐れ以外にも、環境によるダメージで柔らかくなることがあります。
1. 煮え(高温障害)
真夏に閉め切った部屋や、直射日光ガンガンの場所に置いていると、サボテンが茹で上がったように変色し、ぶよぶよになります。
特徴:半透明になる、色が抜ける。
対策:涼しい日陰に移動させます。ただし、半透明になっている部分は細胞が死滅しているため、元には戻りません。
2. 凍害(冷害)
冬場、窓際などで0度以下の冷気に当たると、細胞内の水分が凍って組織が壊れます。
特徴:解凍された保冷剤のように、透き通ってグニャグニャになる。
対策:残念ながら、全体が凍ってしまった場合は復活できません。一部だけなら、その部分をカットして暖かい場所で管理すれば生き残る可能性があります。
今後、サボテンをぶよぶよにさせない育て方のコツ
復活に成功したら、二度と同じ過ちを繰り返さないように管理方法を見直しましょう。
1. 水やりは「土が完全に乾いてから」
サボテンを枯らす原因のNo.1は「水のあげすぎ(可愛がりすぎ)」です。
土の表面が乾いても、鉢の中はまだ湿っています。竹串を刺して、底まで乾いているか確認するか、鉢を持ち上げて「軽い!」と感じてから数日後にあげるくらいで丁度よいです。
2. 水はけの良い土を使う
一般的な「花と野菜の土」は保水力が高すぎてサボテンには向きません。必ず「サボテン・多肉植物の土」を使用してください。
3. 風通しを確保する
水やりと同じくらい重要なのが「風」です。風がないと土が乾かず、蒸れて腐りやすくなります。室内ならサーキュレーターを活用しましょう。
まとめ:腐っていても諦めないで!サボテンは強い
大切にしていたサボテンがぶよぶよになってしまうとショックですが、正しい判断と処置を行えば、復活の可能性は十分にあります。
今回のポイントのおさらい:
- 緑色でシワシワなら「水不足」。水をあげれば戻る。
- 変色して異臭がするなら「根腐れ」。緊急手術が必要。
- 腐っていたら、健康な断面が出るまで刃物で切り落とす(胴切り)。
- 切った後は、土に埋めずに1ヶ月乾燥させる。
私は過去に、根腐れで半分以上を切り落とし、親指サイズになってしまったサボテンを手術しました。しかし1年後にはしっかりと根を張り、今では立派な花を咲かせてくれています。
あなたのサボテンも、まだ諦めないでください。今すぐ状態を確認し、必要な処置をしてあげましょう。


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