「買った時は緑色だったのに、全体的に白っぽく、茶色くなってきた」
「持ってみると、発泡スチロールのようにスカスカで軽い」
「水をあげているつもりなのに、葉っぱが丸まってシワシワ…」
「空気中の水分を吸って生きる」と言われるエアプランツ(チランジア)。
しかし、その実態は意外と水が好きで、気づかないうちに深刻な水不足(ドライフラワー状態)に陥っていることがよくあります。
もし、あなたのエアプランツが枯れているように見えても、まだ捨てないでください。
エアプランツは非常に強靭な植物です。カサカサに見えても、芯の部分さえ生きていれば、一晩水に漬け込むことで奇跡的に復活する可能性があります。
この記事では、エアプランツが「生きているか死んでいるか」を判定するチェックリストと、瀕死の状態から救い出す緊急処置「ソーキング」の方法を解説します。
【診断】そのエアプランツ、生きてる?死んでる?
まずは現状を確認しましょう。エアプランツの死因は主に「乾燥(ミイラ化)」か「腐敗(蒸れ)」のどちらかです。
ケースA:まだ助かる可能性が高い(乾燥)
- 色:全体的に白っぽい、銀色っぽい(トリコームという毛が立っている状態)。葉先だけ茶色い。
- 重さ:非常に軽い。
- 形状:葉が内側にクルクルと丸まっている。シワが寄っている。
- 中心部:成長点(株の真ん中)はしっかりしていて硬い。
判定:【重度の水不足】
これは枯れているのではなく、水分を守るために休眠に近い状態になっています。後述する「ソーキング」で復活できます。
ケースB:残念ながら手遅れの可能性が高い(腐敗)
- 色:株元(お尻の部分)が黒、または赤茶色に変色している。
- 感触:株元を触るとブヨブヨしている。
- バラバラになる:中心の葉を軽く引っ張ると、抵抗なくスッと抜ける(一番の絶望サイン)。
- 臭い:生ゴミのような腐った臭いがする。
判定:【腐敗(蒸れ)】
水のやりすぎ、または水やり後に乾かなかったことが原因で、芯が腐っています。成長点が死んでいるため、復活は不可能です。
カサカサのエアプランツを蘇らせる「ソーキング」の手順
診断の結果、「ケースA(乾燥)」だった場合は、霧吹き程度の水やりでは回復しません。
植物を丸ごと水没させる「ソーキング」という荒療治を行います。
用意するもの
- バケツやボウル(エアプランツが全身浸かるサイズ)
- 常温の水(水道水でOK)
ステップ1:水にドボンと沈める
ボウルに水を張り、エアプランツを丸ごと沈めます。
「息ができなくて死ぬのでは?」と心配になりますが、エアプランツは気孔を閉じて耐えるので大丈夫です。浮いてきてしまう場合は、上から重し(皿など)を乗せても構いません。
ステップ2:4時間〜6時間放置する
そのまま水の中で放置します。
目安は4時間〜6時間です。長くても12時間以内にしてください。丸一日(24時間)漬けっぱなしにすると、今度は本当に窒息して腐ってしまいます。
ステップ3:水を切り、逆さまにして乾かす【最重要】
ここが運命の分かれ道です。
水から引き上げたら、株を逆さまにして、ブンブンと振って水を切ります。
葉の隙間に水が溜まったままだと、そこから腐ってしまいます。
その後、風通しの良い日陰で、逆さまにした状態で完全に乾かします。サーキュレーターの風を当てても良いくらいです。
復活のサイン
ソーキング後、葉がシャキッと広がり、重みが増していれば成功です。
葉先が茶色く枯れている部分は元には戻りませんが、緑の部分が元気になれば、そこから新しい葉が伸びてきます。茶色い部分は気になるならハサミでカットしてもOKです。
こんな時はどうする?よくあるQ&A
Q. 葉っぱの根元が茶色いですが、腐っていますか?
A. 硬ければ大丈夫です。
エアプランツの株元(お尻の部分)が茶色くなっていることがありますが、触ってみてカチカチに硬ければ、それは「古くなって木質化(もくしつか)」しているだけです。腐っている場合はグニュッと潰れます。
Q. 花が咲いた後に枯れてきました。
A. 寿命ですが、子孫を残します。
エアプランツは、一度花を咲かせた株はそれ以上大きくならず、ゆっくりと寿命に向かいます。しかし、その代わりに株元から「子株(赤ちゃん)」を出します。
親株が枯れても、子株が育てば世代交代成功です。親株が完全に茶色くなるまで、そのまま育ててください。
Q. 100均で買ったばかりなのに枯れそうです。
A. 店頭ですでに乾燥していることが多いです。
100均や雑貨屋さんのエアプランツは、長期間水をもらえていないことが多く、購入時点で「極度の乾燥状態」にあることがほとんどです。
買って帰ったら、まずは一晩ソーキングをして、水分をフルチャージしてあげるのが長生きのコツです。
もう二度と枯らさない!正しい育て方のコツ「風と水」
無事に復活したら、今後は乾燥させすぎないように管理しましょう。エアプランツ栽培の肝は「空気」ではなく「風と水」です。
1. 「霧吹き(ミスティング)」は週に2〜3回
夜に気孔が開くため、夕方〜夜に霧吹きで全体を濡らします。「濡れたな」という程度ではなく、ポタポタ水が滴るくらいビショビショにするのが正解です。
2. ソーキングは「月に1回」のご褒美
霧吹きをしていても、室内は乾燥しているため徐々に水分が抜けていきます。
月に1〜2回は、定期メンテナンスとしてソーキング(水没)を行ってあげると、プリプリの状態をキープできます。
3. 何よりも「風通し」が命
エアプランツを枯らす最大の原因は、実は「水やり後の蒸れ」です。
濡れた状態で風のない場所に置くと、数時間で腐ることがあります。水をあげた後は、必ず風通しの良い場所に置くか、扇風機の風を当てて「早く乾かす」ことを意識してください。
まとめ:カサカサなら水に漬けろ!ブヨブヨなら諦めろ!
エアプランツの生死判定は、見た目よりも「触感」と「重さ」が重要です。
今回のポイントのおさらい:
- 軽くてカサカサ・シワシワなら「水不足」。ソーキングで復活のチャンスあり。
- 中心を引っ張って抜ける・ブヨブヨ・臭いなら「腐敗」。復活は不可能。
- ソーキングは4〜6時間。その後は「逆さまにして即乾燥」が鉄則。
もし、あなたのエアプランツがまだカチッとしていて軽いだけなら、今すぐボウルに水を張って漬けてあげてください。明日の朝には、見違えるほど瑞々しい姿に戻っているかもしれませんよ。

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